吹奏楽曲(編曲含む)

2009/07/24

タコとの別れ

今年のコンクールはショスタコーヴィチの歌劇「ムツェンスク郡のマクベス夫人」。これは、レギュラー落ちしたメンバーにも発表の場を与えようという趣旨の「ジュニア部門」という審査会。

さっくり言ってしまえば、レギュラー落ちして落ち込んでいるメンバーを寄せ集めたバンドとして出発するのだから、ただでさえ彼らのモチベーションは上がらないし、編成にも技術面でも制約があるから演奏できる楽曲もなかなか決まらないしで、運営はひじょーに苦しいのです。

今年は20名、吹奏楽なのに旋律を担当するB♭クラリネットがひとりもいない(オケで言えば、ヴァイオリンがいない状態)という危機的状況。で、半ばやけっぱちになっていずれ編成が揃わないなら現代音楽にしちまえ、とこの選曲にした次第。不倫や殺人、裏切りを扱った非道徳的な内容である上に、強姦シーンの露骨な性描写が当時の国家元首スターリンの逆鱗に触れ、事実上上演禁止になった過激な作品に取り組むことにしたのでした。

ショスタコにちなんで「タコ部」と名付けて活動を始めましたが、1年生を中心とする今年のメンバーは素直に前向きに取り組み、Cl無しでどーやって吹奏楽やるんだよ、と消沈しかけていた私を、熱心な練習態度や具体的な提案で助けてくれました。結果は銀賞、審査員の評価も好意的な応援からばっさり斬り捨てまで両極端に分かれましたが、振り返ってみればとても楽しい本番だったと思います。

残念なのはレギュラーメンバーの姿が客席になかったこと。ただでさえ不利な状況で挑むのに、客席に仲間の応援すらないなんて、他校の応援団を尻目に見ながら、彼らはどんなに寂しい思いをしたことでしょう。自分たちも大会に向けてベストを尽くしたいという思いは理解できますけど、学校の部活動のあり方としては歪んでいます。彼らの中には1年生、2年生の時にこのジュニアバンドで悔しい思いをした人間も居るはずなのに、どうして彼らにもっと中身のある励ましの言葉をかけてやれないのかと、情けない思いがします。こんな荒んだ気持ちで音楽に携わりたくないし、タコ部の彼らが編成上の不利をカバーする頑張りを精一杯見せてくれただけに残念で残念でなりません。

オペラとしての上演は稀有な作品ですが、今年は5月に国立劇場が取り上げ(この作品を取り上げた意欲的な芸術監督、指揮者若杉弘氏がつい先日亡くなったとのこと...)、12月には奇才ゲルギエフ氏がサントリーで振るようです。

2009/02/11

ボナパルト

Dscf1384_6定期演奏会に向けて、フランスの英雄(独裁者?!)ナポレオンの生涯を描いたO.シュヴァルツ「ボナパルト(Bonaparte)」の合奏をする。

チャイコフスキー「大序曲1812年」でお馴染みの革命歌「ラ・マルセイエーズ」のモチーフや軍隊の行進を表す足踏みが現れたりして結構楽しい。

曲中、皇帝の戴冠式の様子を描いたファンファーレが現れる。この絵はルーヴル美術館所蔵のダヴィッド「皇帝ナポレオン一世と皇后ジョゼフィーヌの戴冠式」。幅9メートル、高さ6メートルを超える大作で(大きすぎてカメラに収められない)、彼の生涯で最も栄光に満ちた瞬間の威光をこれでもかと見せつけている。

Dscf1584こちらはロンドン塔に展示されていた、ファンファーレ用のナチュラルトランペット。

こういう赤い旗を楽器につけさせて、まさに戴冠式の始まりを告げるように、トランペット奏者を立たせて吹かせてみたいのだけど…??

やりすぎ?!   

2009/01/25

「ローマの祭り」譜読み

Img_1246_211月に挑戦したO.レスピーギ「ローマの祭り」に再挑戦してしまいます!!(゚ロ゚屮)屮

12月のジョイントコンサートの打ち上げで、「去年の演奏会で『ダフニスとクロエ』やったでしょ、秋に『ローマの祭り』やったでしょ、あと何があんのよ」、と私の無謀っぷりはすでに諸先輩方から完全にあきれられています。

前回は佐藤正人編曲版を使用しましたが、トランペットがⅠ~Ⅳ番、さらにコルネットⅠ、Ⅱ番と細分化されていたため一人一パート状態に。バランスがとれないので森田一浩版に変更。これは管弦楽同様トランペットⅣパートに集約されているので何とか頑張ってもらえそう。吹かされる生徒はちっとも幸せじゃないと思うけど、楽譜代金の請求書が届く頃には私もどん底になってると思うので、お互いさまってことで。

Dscf0939Dscf0933

吹奏楽では「Ⅰチルチェンセス」前半と「Ⅳ主顕祭」がつなぎあわされて演奏されるのが一般的ですけど、最近は「Ⅱ五十年祭」に強く心惹かれているので、抜粋ながらも取り上げるつもりです。これは巡礼のキリスト者たちが永遠の聖都・ローマにたどりついたときの歓びを表すもので、静かに、しかし着実にローマへの道のりを辿っていく人々の歩みと、ローマの都を眼下に眺めたときの歓喜、鳴り響く教会の鐘々がじんわりと感動を呼び起こします。

今年もこうして分不相応にも指揮棒なんか握って憧れの大曲に取り組ませていただいているけれど、私にとってはずいぶんな背伸びであって、こうした生活もそろそろ終わりを見据えなければ、と正直感じ始めています。今はこの楽譜を大切に、毎日読み続けていこうと思います。

2008/04/26

こんどこそ、来た♪

Miss_saigon_2帰宅したら、「ミス・サイゴン」のヨハン=デ=メイ版がようやく届いていた。版元からの取り寄せなので、2週間以上かかってしまった。ベトナムの民族衣装「アオザイ」を思わせるような鮮やかなブルーの表紙。

「A Symphonic Portrait」という副題が付いているとおり、実際のミュージカル・ナンバーよりもかなり重厚なサウンドになっているような気がする。この編曲版を聴いてから他のアレンジを聴くとがっかりしてしまうかも。

ヘリコプターの飛来音が収録された付属CDは、まあ、使わないとして先に届いた宍倉版は、出だしがいきなり「チェレスタのどソロ」とかクロターレが出てくるとか特殊楽器のオンパレードでびっくりしたが、こちらは至って常識的な楽器割りでほっとする。

さあ、譜読みだ…

2008/04/15

来た…!!

Miss_saigon1970年代、ベトナム戦争の混乱の中で引き裂かれたベトナム人少女キムとアメリカ軍属クリスとの悲恋を描いたロンドンミュージカル「ミス・サイゴン」。

吹奏楽コンクールでよく演奏される宍倉晃版がたった今届いた♪演奏時間が6分と短い上に、挿入歌「プリーズ」が入っていないのがやや不満だが、「サイゴン陥落」のトロンボーン大爆発。しばらく鼻歌三昧になりそう…ていうかこんな変拍子振れるのかいな

比較検討のため、あとは個人的に好きなヨハン=デ=メイ版の到着を待つ。

きょうは楽譜に縁の深い一日だった。コンクールジュニア部門にのせる楽曲候補が2つまで絞られていて、出入りの"敏腕"伊藤楽器さんのおかげで、本命の楽譜入手に何とか渡りがつきそうだという吉報が入った。

まあ、ジュニア部門出場のバンドは1軍に乗れなかった子たちだから、初めは落ち込みもするし、なかなかモチベーションがあがらないし、何よりコンクール直前まで編成が決まらないので曲も選びようがないのだけれど、つられて自分も守りに入っちゃいけないと思うので、今年は難曲に挑戦します。

2007/12/15

夜毎に生まれ、心に消え残るもの

「トゥーランドット(セレクション)」(後藤洋編)にただいま取り組んどります。私自身は去年石津谷先生版の演奏に参加させていただきました。色々な編曲版があって、それぞれ取り上げている場面に違いがあるのですが、このオペラはどれも名場面ですばらしい楽曲に彩られているので、どれもこれも捨てがたく、ほんとうに迷いました。

昨日から、メトロポリタン歌劇場公演のDVD(グラモフォン)をお借りすることができたのでオペラ本編を見ています。カラフ王子はプラシド・ドミンゴ。「3大テノール」の時の彼は何だか甘ったるいマスクでにやにやしていてやな感じー(失礼(^_^;))と思っていたのですが(あるいは、私ぐらいの世代の人しか覚えてないと思うけど、『ザ・ベストテン』でなぜか松田聖子とデュエットしていて、日本人としてちょっと恥ずかしく思った記憶が消えないためか?!)、まあ、とにかく、METでのカラフ王子はとても格好良かったのです!

カラフ王子が一目で心奪われ、命を賭けて謎解きに挑もうと決意するはずのトゥーランドット姫は、…美しい…か???…ちょっくら微妙な感じもしますけど、声量は抜群だし、カーテンコールの時にはチャーミングな一面も垣間見えました。

いや、何より、リューがすばらしい。女奴隷のリューは、かつてたった一度だけ優しく微笑みかけてくれた王子への好意をずっと心に秘めつつ、彼を守るために、そしてまた、トゥーランドット姫を手に入れて幸せに暮らす彼の姿を見ないために、官吏から奪い取った短剣を胸に突き立てるのですが、リューが自害するこの場面、ほろほろ泣きながら見ました。

劇中、カラフ王子は3つの謎を解いてトゥーランドット姫を手に入れます。

「夜毎に生まれ、朝には死ぬが、心に消え残るものは?」「それは希望」

「夕陽のように赤いが炎でなく、時に冷たく凍るものは?」「それは血潮」

「汝に火をつける氷。汝の火により、ますます冷たく凍るものは?」「…それは、トゥーランドット!」

そろそろ「希望」が生まれる時間です。眠りについた方がよさそうですよ♪

2007/12/13

ひとり選曲会議~

期末テストが終わったので、部活再開。3月の定期演奏会に向けた準備も始めなくてはならないので、いよいよ選曲の締め切りも近づき、悩みは深まるばかりです。

いま手元に楽譜が準備できてるのは、真島俊夫「鳳凰が舞う -印象、京都 石庭 金閣寺-」。「三つのジャポニスム」と雰囲気的にはよく似ていて、TbやTubaによる2拍3連のモチーフなんか、そっくりじゃん!!と思ったりもするんですけど、全体としては後発の「鳳凰~」の方がより洗練された感じがします。Picc、Fl、S.Saxのsoloを丁寧に(幽玄に)仕上げたいところです。打楽器群もハープ、当たり鉦や拍子木など総動員といった感じ。そうそう、「鹿威し」の音を表現する竹探さなきゃ、竹…誰か部員で、家に竹林がある人とかいないのかな…

この曲は販売譜なんですけど、個人的には演奏許諾書に記された真島さんの直筆サインの方が嬉しかったりします♪万年筆にボルドーのインクで、パリに心を寄せての作品もある方だけに、することがお洒落です。

パリと言えば、「鳳凰が舞う」もまた、フランスの作曲コンクールでグランプリを受賞した曲だけに、邦楽的な「ゆらぎ」と、フランス音楽の「色彩」が融合した感じが気に入っています。

その他に、木下牧子氏や天野正道氏、櫛田月失之扶(テツノスケ)氏など邦人作曲家を中心に探しています。

2007/11/14

ぱらいそに参ろうぞ

地区の高校が集まっての音楽会があり、一曲振らせてもらった。ちゃんとした舞台でオリジナルの吹奏楽曲に取り組むのは久しぶりだ。

あれこれ悩んだ挙句、取り上げたのは伊藤康英「ぐるりよざ」(Ⅲ 祭り)。打楽器奏者が4人いればまかなえるため、メンバーが余ってしまうことなどもあって今まで挑戦する機会がなかった曲だ。

今ならバンド・クラシックスの部類に入る('90年)この曲を何で取り上げようと思ったのかというと、ことし春先の休日、暇つぶしに書棚から薄い文庫本を取り出して読んだのが、たまたま遠藤周作の「沈黙」だったからだ。

徳川幕府が禁教令を出してからというもの過酷な運命になぶられ続けたキリシタンのひとびとのありさま、そしてこの小説が重く問いかけている「神の沈黙」~固く信仰を守り続けた人々がそのために命を奪われようというこのときに、なぜ神は沈黙しているのか?~が胸に迫って、キリシタンの間で歌い継がれたGroliosa(ぐるりよざ)をモチーフにしたこの曲をいつかやってみたい、と思い続けてきた。

諸々の行事との兼ね合いで数回しか合奏できなかったので悔いの残るミスも出てしまったが、吹奏楽部の子たちは背水の陣でよく頑張ってくれたと思う。初めは「ぐるりよざ」という意味不明の題名や泥臭い民謡の節回しに戸惑っていた彼らも、結果的にはこの曲をそれなりに気に入ってくれたようだ。テンポの切り替えや和音がぴたっと決まって手応えを感じられる場面もあった。よく知られた懐かしい曲を演奏したこともあって周囲の目は厳しかっただろうとは思うが、他校の先生方から終演後声をかけていただけてよかった。

小さな教会の古ぼけたオルガンを思わせるような素朴な和音、迫害を受ける名も無きキリシタンのひとびとの断末魔の叫び、等々、映像が立ち上がってくるような楽譜だ。長崎民謡やグレゴリオ聖歌の変化形を用いたフーガの箇所などは、やればやるほどその構成の緻密さが面白くて、スコアを開くたびに新しい発見のある楽曲だった。

2007/07/25

さよなら、シシィ

リーヴァイのミュージカル曲「エリザベート」の演奏を終える。今回は新人興行みたいなもので、わずかな合奏時間の大半を、Gが低いとかE♭が高いとか、音符の長さが長いの短いの、ここのリズムは、たーたーた、ですよー♪あなたは楽譜をさらってきたんですかー(怒)、とか、ごくごく基本的なことの確認と泣きたくなるほど初歩的な会話に浪費してしまって(バンドが上達しないことは取りも直さず自分自身を映し出す『鏡』であったわけだが)、苛立つこと、悩むこと、悔やむことの連続だった。

…ので、細かい点を詰められないまま当日を迎えてしまい、もちろん子どもたちも自分たちで考えてそれなりに努力して、収穫はあったけれども、無理矢理力で押し通してしまうという不本意な演奏~もいちど書くけど現在の自分をそのまま映し出す『鏡』としての~になってしまった。

数年前、ベルヴェデーレ宮殿でクリムトの絵画『接吻』を見たけれども、金色の光に包まれて愛し合う二人の足下には今にも崩れ落ちそうな崖と漆黒の闇、ああいった19世紀末ウイーンの持つ官能的で危うい雰囲気を今回の楽曲で表現できたら良かったのに、その段階まで追い込めなかった自分の甘さがつくづく嫌になる。

3年くらい前からやりたくて温めていた楽曲なので、またいつか再挑戦したい。それまでに機会を見つけてもういちどウイーンに行って、シシィの魂に触れたいと思う。

2007/02/27

国王の道

El_camino_real

A.リード『エル・カミーノ・レアル』の合奏に参加してきた。来週の行事で2つのバンドが合同で演奏するものなので、編成も充実、ただしコントラバスはやっぱり1本だった。

なので、私が合奏に加わるまでの間に指導者の先生は中間部(オーボエソロの伴奏部分)のコントラバス譜にバリトンサックスを加えようとなさっていて、これは断固として阻止!!絶対阻止!!!したのだった C=(^◇^ ;  ここに余計な音色を加えられたら不貞腐れて欠席しちゃうよ。

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